「自家歯牙移植と歯根膜の関係を知っていますか?」

※写真は1990年(平成2年)7月28日の北日本新聞より

自家歯牙移植とは歯が無くなった場所に自分自身の不要な親知らず歯などを移す治療法を言います。
自家とは「自分の」という意味です。他人の歯を利用する場合は「他家」と表現しますが、他家歯牙移植は免疫学的な理由でうまくいきません。

 

 

それでは自分の歯であればいつでも成功するかというと、そうではありません。
移植の成功には歯の根っこの表面に付いている「歯根膜(しこんまく)」という細胞が健全に生きていることが必要なのです。
このことが歯科界で分かりだしたのは1988年頃になってからであり、比較的最近のことなのです。
それまではこの歯根膜の存在を無視していたためにうまくいきませんでした。
この歯根膜についての新しい科学的見解に基づいて自家歯牙移植をおこなった症例を1988年の富山で開催されたインプラント関係の学会で私が発表したところ、この学会を取材に来ていたNHKが強い興味を示してくれました。
動画は、後日、私個人がNHKから直接の取材を受けて、トピックニュースとして全国に放映(1988年)されたものの一部です。
最後に…、
抜けた歯を元の穴に戻すことを再稙と言います。
子供さんが転倒などで前歯が抜けてしまうことがあります。
この再稙にも重要なのは健全な歯根膜であり、歯を乾燥させたりしてしまうと歯根膜細胞が死ぬので再稙は成功しません。
万が一、事故で歯が抜け落ちたら一刻も早く、歯科医院に連絡してください。
歯科医院では来院までの抜けた歯の適切な保存方法などをアドバイスできます。

院長 村山偉知朗