歯科医院によってインプラント費用が異なる理由

CT画像によるインプラントシミュレーション

日本でのインプラント治療は一部の条件(先天的問題や病気、事故による多数歯欠損)を除き自由診療です。

調べるところインプラント治療費の相場は一本あたり10〜60万円といわれています。
この価格差は何によって変わるのでしょうか?その違いを左右するのは以下の5項目に関連していると考えます。

①術前にCTを撮影しているか

②手術時の安全対策について

③インプラントメーカーについて

④被せ物の素材の違い

⑤被せ物を製作する技工士、技工所の違い

 

今回はそれぞれの項目についてどのような違いがあるのか価格差などを説明します。

 

①術前にCTを撮影しているか

CT画像によるインプラントシミュレーション

*CT画像によるインプラントシミュレーション

インプラントを埋める際、顎骨の形は十分に分析しなくてはいけません。

上顎には突き抜けてはいけない副鼻腔があり、下顎には傷つけてはいけない神経・血管が存在します。

また骨の薄い場所にインプラントを埋入してもそれは長く持たず数年で脱落することがあります。
これらを正確に把握するためにはCTスキャンを用いた3次元的な診断が必要です。

インプラント治療目的でCTを撮影する場合は自由診療で、撮影費は約1〜2万円です。

 

②手術時の安全対策について

ガイドサージェリー用マウスピース

*ガイドサージェリー用マウスピース

 

CT画像からインプラント専用のシミュレーションソフトを使用し手術支援用マウスピースを作製します。

この方法をガイドサージェリーと言います。マウスピースにはシミュレーションと同じ位置にインプラントのドリルができるようにガイドホールがあり、正確にインプラントを埋入する事が可能になります。

さらに短時間で安全な手術が可能になり、歯肉切開も最小限でとどめられるため、患者さんの術後の腫れや痛みの軽減にもつながります。ガイドサージェリーの相場は5〜10万円です。

マウスピースを装着してのインプラント手術

*マウスピースを装着してのインプラント手術

 

③インプラントメーカーについて

同じ形のインプラントのようでも世界には百種類以上のインプラントが存在します。価格もメーカーによって大きく異なります。その価格は一本あたり数千円〜数万円まであります。

一般的なインプラントは数万円クラスです。その素材は純チタンに近いグレード4チタンを使用しています。

チタンは生体親和性が高く、アレルギーが少なく、骨と結合する特性がある金属です。

また高精度のインプラントはバイ菌が繁殖する隙間がないため、歯茎や骨に炎症を起こしにくい事が実証されています。

 

一方で、数千円クラスのインプラントは所謂、格安インプラント言われているものです。手術から被せ物までを含めても治療費が十数万円と広告されています。

素材はチタン合金ですが、チタンの含有量が少ないため、骨と結合しにくく、またアレルギーや腐食の原因となる金属が含まれています。残念ながら格安インプラントは数年でトラブルを起こします。

チタン合金の暫間用インプラント(長期間の使用は想定されていない)

 

*チタン合金の暫間用インプラント(長期間の使用は想定されていない)

さらにインプラントメーカーを選択する上で、重要なポイントはそのメーカー側が長期間、補修パーツを供給しているかと言うことです。

インプラント商品開発も日進月歩です。数年で取り扱いがなくなり、パーツの供給ができないインプラントも数多くあります。10年前に入れたインプラントの本体は使えるのに、被せ物のパーツが壊れてしまった、リペアパーツがないため修復が出来ないという問題が生じる事があるわけです。

 

このような問題に関して長期的に対応できるインプラントメーカーは世界でも数社しかありません。

 

以上の理由などからムラヤマ歯科では世界No.1シェアのインプラントをいわれているストローマン社を使用しています。

ストローマン社製の各種インプラントとパーツ

*ストローマン社製の各種インプラントとパーツ

 

④被せ物の素材の違い

インプラントに用いられる被せ物の素材は樹脂、金属、セラミックの三種類に大きく分けることができ、数万円〜十数万円の価格差があります。

樹脂は安価ですが、素材の経年劣化があります。

摩耗しやすいため、周りの天然歯と比べ噛み合わせの高さが低くなり将来的にかみ合わなくなります。

またインプラントと被せ物を固定するパーツにもメーカー純正品とメーカー互換性のあるサードパーティー製品があります。

この場合、問題となるのはパーツの精度です。精度が悪い製品を使用することで、インプラントの寿命が短くなります。

 

ムラヤマ歯科で使用するインプラントパーツは全てストローマンの純正品を使用しています。

さらに被せ物の精度を確認するため、被せ物を装着後はレントゲンを撮影し固定部に隙間の確認をします。

 

⑤被せ物を製作する技工士、技工所の違い

インプラントの被せ物の値段は製作する技工士(技工所)によっても左右されます。

同じ被せ物の素材でも、噛み合わせなどの機能性や自然で違和感のない審美性は製作する技工士によって異なります。

右:数年で劣化した樹脂系の被せ物 左:ジルコニア(セラミック)製の被せ物

*左:数年で劣化した樹脂系の被せ物 右:ジルコニア(セラミック)製の被せ物

 

インプラント治療は10年生存率が90%以上といわれている治療です。

さらにムラヤマ歯科のインプラントは30年以上機能する実績があります。

長期間トラブルを起こさない治療、トラブルが発生しても確実に対応できる治療を目指しています。

 

村山雅人 記