インプラント手術直後から抜糸までの過ごし方 ~手術当日編~
はじめてインプラント手術を経験した時、手術した部分の痛みや腫れが「心配の無い想定内の反応」なのか、あるいは「異常な反応」なのかが分からず不安になると思います。
このシリーズでは、
1.「インプラントの手術後はどういう反応が起こり、変化していくのか?」、
2.「どのようなことに注意すればよいのか?」
ということについて説明したいと思います。
今回は、「インプラント手術後の当日について」について説明します。
手術後の当日はどのようなことに注意すればよいのか?
1.手術直後の数時間は、麻酔が切れるまでは食事を控える。
麻酔の効果は手術が終わってもたいていの場合は1〜2時間くらいはまだ効いています。
麻酔が効いている間は、口元の感覚がないので「飲食」に注意してください。
麻痺しているので熱いものでやけどをしたり、誤って頬や唇の粘膜、舌を噛んでしまう危険性があります。
手術直後の数時間は(熱くない)飲み物だけにして、麻酔が切れるまでは食事を控えてください。
2.止血の際は清潔なガーゼなどを手術部位で噛んで圧迫する。
この時に痛みを感じる様でしたら痛み止め(鎮痛剤)を服用してください。
実はこの注射麻酔薬には麻酔成分の他に手術時の出血を減らすための成分(血管収縮剤)が入っています。
麻酔の効果が切れると同時に血管収縮剤の効果も切れるため、手術部位から若干出血する(後出血)ことがあります。
血が唾(ツバ)に混じってたくさん出血しているように見えるかもしれませんが、止血には細心の注意を払って手術を終えていますので,心配はありません。
その場合は慌てず、清潔なガーゼなどを手術部位で噛んで10~15分程度圧迫してください。
3.うがいをしすぎない。
過度なうがいは後出血の原因になります。
また縫合した糸がはずれて傷口が開く可能性があります。
4.食事のメニューについて。
食事のメニューは1週間程度(抜糸の日まで)はおかゆやうどん、スープなどの軟らかいものを選んでください。
おせんべいや飴などの硬いものや辛いものなどの刺激物、ガムは避けましょう。
咀嚼する際は、なるべく手術した部位とは反対側で噛んでください。
口の中の様子が普段とは違うので、食べにくさを感じると思いますが、顎に力を入れずにゆっくり咀嚼をするようにしてください。
5.術後1週間は、飲酒・喫煙は厳禁。
飲酒を避けて欲しい理由はアルコールが血管を拡張させて痛みや後出血を促してしまうことと、抗生剤を服用中にアルコールを飲むと肝臓に余計な負担をかけるからです。
タバコに含まれるニコチン・タールは毛細血管を収縮させ、傷口の治癒を遅らせるので、出来れば数週間は禁煙しましょう。
6.スポーツは休む。
スポーツは全身の血管を拡張させて痛みが出やすく、血圧が上がることで後出血の原因となります。
また、運動中に噛みしめる癖のある人は傷口が開いてしまう可能性があります。
7.お風呂は湯船にゆっくりと浸かる入浴は避ける。
お風呂は湯船にゆっくりと浸かる入浴は避けてシャワー程度にしてください。
入浴で身体を温めるとやはり痛みや後出血を促すからです。
8.手術後、薬の処方について。
抗生剤は手術後の感染を防ぐために処方しています。
指示通りに飲み忘れがないように正しく服用しましょう。
鎮痛剤は痛みを感じた時に服用しますが、繰り返し服用する時でも少なくとも4時間くらいの間隔を開けてください。
9.外側を軽く冷やす。
手術の当日は、手術部の外側を軽く冷やすと痛みや腫れが軽減し楽になります。
ただし、冷やすのは一日目だけで翌日からは冷やさないようにしてください。
10.夕食後の薬(抗生剤など)を忘れずに服薬する。
11.就寝前の歯みがきは手術側を完全に避ける。
例)右下奥歯にインプラントを植えた手術なら、下顎の前歯のまん中から右奥までの歯を磨かないでください。
村山偉知朗 記