2020年を振り返って

2020年はクリニックの診療風景が一変した年でした。
今まで、歯科界はB型肝炎ウィルスなどに代表される血液感染の防御に最大限の注意を払ってきました。
しかし、エアロゾル感染に対して脆弱性を持っていたことに気づかされました。
そこで、当院ではスタッフは全員がつなぎの防護服を着て、マスクはもちろん、めがねとフェイスシールドを装着しています。そして、患者さまにも防護キャップとガウンを着ていただいています。
映画「コンテイジョン」(2011年公開)はマリオン・コティヤール、マット・デイモン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、グウィネス・パルトロウらの豪華キャストが大勢出演した、地球規模で新種のウイルスが感染拡大していく恐怖を描いた映画です。
『接触感染(contagion)により数日で命を落とすという凶悪な新種ウイルスが香港で発生。感染は瞬く間に世界中に拡大。見えないウイルスの脅威に人々はパニックに襲われ、その恐怖と戦いながら生き残るための道を探っていく。』という映画ですが、まさに今回のコロナ禍の状況とそっくりの映画です。
ムラヤマ歯科ではコロナ対策を講ずるにあたり、先ず、この映画を教材として全員で鑑賞しウィルス感染予防の概念を共有したのです。
この映画の中で印象深かったのが、ケイト・ウィンスレット演ずるCDC(米国疫病予防管理センター)職員が「人は1日に2000~3000回も顔を触り、起きているときには1分間に3~5回顔に触る」というセリフです。
つまり、たとえマスクをしていてもウィルスが付着した手で顔に触れば、顔に着いたウィルスが口腔内に入り接触感染を引き起こすと考えられます。
その証拠に、最も飛沫感染が危険と騒がれた歯科医院は全国でも1件もクラスターが出ず、一般の人のみならず、専門家であるはずの医師たちや自衛隊の高級幹部らがおこなった会食などではたびたびクラスターが発生しました。
歯科医療従事者は以前からマスクをし、患者さまごとにグローブを代え、決してグローブで顔を触ることも無いので、結果として接触感染を防いでいるのだと思います。
それに対して飲食の現場では飛沫感染というよりは、いろいろな物を触った手で不用意な口への接触感染を起こしているのではないでしょうか。
当院の患者さまでもある芸能人の方が次の言葉を当院に寄せてくれました。
「とにもかくにもお元気で。お会いできる日楽しみに。」
早くこのコロナ禍が終息することを願っています。

院長 村山偉知朗